「障害」という言葉を聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?「障害」の定義を見つめながら、考え方を整理していきましょう!
障害ときいて、車椅子や白杖を使っている人、あるいは、身体の一部が動かしにくい人などをイメージするかもしれません。私たち多くが当たり前だと思っている「障害」の捉え方には、実はいくつかの異なる考え方があるんです。
今日は、社会で今まさに議論され、私たちの社会をより良いものにするために重要な視点である**「障害の社会モデル」**について、わかりやすく解説していきたいと思います。
これまでの「障害」の考え方:医学モデル
まず、私たちがこれまで当たり前のように触れてきた「障害」の考え方は、**「医学モデル」**と呼ばれるものに近いです。
医学モデルでは、**「障害とは、個人の身体や精神の機能に何らかの問題があること」**と捉えます。
たとえば、目が見えない、耳が聞こえない、足が動かない、特定の脳機能に特性がある…といったように、「個人の能力が標準と比べて欠けている、あるいは異なる状態」を指します。
この考え方に基づくと、治療やリハビリテーションによってその「問題」を解決し、個人を「標準」に近づけることが主なアプローチとなります。つまり、**「障害は個人の問題である」**という視点が強いのが特徴です。
視点を変える:「障害の社会モデル」とは?
これに対して、近年国際的に主流となり、社会で活発に議論されているのが**「障害の社会モデル」**です。
社会モデルでは、**「障害とは、個人の心身機能の困難さによって生じるものではなく、社会の側にある障壁(バリア)によって生み出されるものである」**と考えます。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、例を挙げて考えてみましょう。
例1:車椅子を使っているAさんの場合
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医学モデルの視点: 「Aさんは足が不自由だから、移動が難しい」
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社会モデルの視点: 「Aさんの足が不自由であることは事実だが、移動を困難にしているのは、階段しかない建物や、段差の多い道路など、社会が用意したバリアである。もしエレベーターやスロープがどこにでもあれば、Aさんの移動はもっと楽になり、その困難さは大幅に軽減されるだろう。」
例2:発達障害の特性を持つBさんの場合
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医学モデルの視点: 「Bさんは特定のことに集中しすぎて、周囲が見えなくなることがあるから、仕事に支障が出やすい」
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社会モデルの視点: 「Bさんの集中力は、特定の分野では強みになることもある。しかし、複数の業務を同時並行で行うことを求める職場環境や、画一的な評価制度が、Bさんにとってのバリアとなっている。もし、一つのことに集中できる環境や、成果を重視する評価制度があれば、Bさんはその能力を存分に発揮できるだろう。」
このように、社会モデルでは、個人の特性や機能は多様性の一部であると捉え、その特性によって生じる**「生きづらさ」や「困難」は、社会の仕組みや慣習、人々の意識の中に存在する「障壁」によって作り出されている**と考えます。
つまり、**「障害は社会の問題である」**という視点に立つのが、社会モデルの大きな特徴です。
なぜ「社会モデル」が重要なのか?
社会モデルの考え方が広まることは、私たちの社会に大きな変化をもたらします。
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責任の所在が明確に: 障害が個人の問題ではなく社会の問題だと捉えることで、社会全体でバリアを取り除く責任があるという意識が生まれます。
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多様性の尊重: 個人の特性を「欠陥」ではなく「多様性」として受け入れることで、誰もがそれぞれの能力を活かせる社会を目指すきっかけになります。
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より良い社会の実現: バリアをなくす取り組みは、障害を持つ人だけでなく、高齢者、ベビーカー利用者、一時的に怪我をしている人など、すべての人にとって暮らしやすい社会を作ることに繋がります。
まとめ
「障害」という言葉の捉え方は、時代とともに変化し、より多様な視点から議論されるようになってきました。
「障害の社会モデル」は、私たち一人ひとりが、身の回りにある「バリア」に気づき、それを取り除くための行動を考えるきっかけを与えてくれます。
この考え方が広まることで、誰もが自分らしく、生き生きと暮らせる社会に一歩近づけると信じています。
「障害」について議論するときも、社会モデル的視点で解決できるものと、医療支援や生活支援が必要なものは違うということを理解して話したいですね!!
この記事が、あなたの「障害」に対する見方を変えるきっかけになれば嬉しいです。感想やご意見など、ぜひコメントで教えてくださいね。